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2008年8月スタート。同人的な表現が時々ありますので、苦手な方はご遠慮下さい。
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書きなおしばっかりで、ちっとも完成しないので、
ミニミニSSをブログに書いて少しすっきりさせました。

紫黄です。平気な方は続きから。


+ + + + + + + + + +
春の雨の薫り

雨の匂いがして振り返ると
ずぶ濡れの紫が立っていた。
「どうした?」
と聞くと、
「あなたに会いたくて、飛行ユニットを飛ばしてきたら急に雨が降ってきて…」

タオルを投げて渡す。
「ラボの機械が濡れたら困るだろう。さっさとふけよ」
紫は濡れた体を拭きながら
「冷たいですね。わざわざ会いにきたのに」
とつぶやく。

「ここはケロンじゃない。天気予報ぐらいチェックしろよ」
ほら見てみろと
ラボの大きな画面に気象衛星からの映像を呼び出し、
「今はちょうど春の菜種梅雨と呼ばれる時期で雨が降りやすいんだぜ」
厚い雲の層が奥東京市周辺を覆っている様子を説明する。

「どうしても急に会いたくなって」
後ろから抱き締められ心臓が高鳴る。
でも…いくら春の雨だからってあれほど濡れていて
身体がちっとも冷たくない…というより背中に感じる温度は
普段より熱いぐらいだった。

「ガルル?」
と名前を呼んでも返事はなく、背中に重心が寄りかかってくるので
倒れそうになる体を慌てて支えた。

意識を失った重たい紫をベッドに運び、熱を計ると40度以上あった。
「無茶するなよ」
と言うと、目を覚ましたガルルが
「途中で敵性宇宙人と交戦して、少し疲れが出ただけです」
と答える。

「しばらく休んでれば治ると思うけど、プルル看護長のところから薬でももらってこようか?」

「大丈夫です。せっかく会えたのだから、一緒にいてくれませんか?」
と言って腕をベッドから出して、俺の手を握る。

わざわざケロンからやってきた紫の訪問者に、
俺だってたまには少し優しくしてやろうかと思う。

握られた右手の甲に口付けし、
「じゃあずっと俺が診ててやるよ」
と言って紫の手に微かに残る春の雨の薫りを感じながら、
ゴーグルの下の朱色の瞳と視線を合わした。

<END>
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